「凛音さん、どうぞ」
「……ありがとう、充くん」
充くんからカップを受け取るとそっと口に運び、一口喉へ流し込んだ。
此処は一階にある下っ端くん専用部屋の一つで、千暁くん達がいる部屋の二つ隣にある部屋。
何故此処に居るのかと言うと、部屋から出てきた充くんに『二階へ行きますか?それとも一緒にいましょうか?』と聞かれたから。
その問い掛けに『充くんに聞きたい事があるの』と返すと、『分かりました』と充くんは一つ返事で頷いてくれた。
そしてその後連れてこられたのがこの部屋。
まさか直ぐに来てくれるとは思わず、『カレー食べてからでいいよ』と慌てて手を振ったけど、充くんは『後で頂きます。それよりも凛音さんの話の方が大事なので』と優しい声色でそう言ってくれた。
『充くん、ありがとう』
心が弱っていたあたしは、申し訳ないと思いながらもその言葉に素直に甘える事にした。
「充くん、皆には……」
「大丈夫です。ちゃんと口止めしておきました」
「……ありがとう」
口止め。
それはあたしが遥香さんと十夜の関係を知ってしまった事を十夜達には言わない事。
言えば十夜達は気にする。
Dの事で大変なのに、あたしのつまらない嫉妬で煩わせたくはない。


