Ri.Night Ⅳ


このまま追いかけて来なきゃいいのに。


そう思いながら落ち葉を上手いコト利用し、木々の間を滑る様にすり抜けていった。


我ながら抜群の運動神経だ。



今更だけど、スニーカーを履いてきて本当に良かったと思う。


けど、ショーパンをはいてきたのは失敗だった。


動きやすいのはいいんだけど、


「のわっ!」


……こんな風に転んだ時が滅茶苦茶痛い。


足を見てみれば、落ち葉で切れたのか色んな所が擦り切れていて。見るだけで痛みが増す。


……うぅ。美脚目指してたのに。泣きそう。



しかも、スライディングをするみたいに転んだせいで思いっきり尻餅をついてしまった。


落ち葉があると言えど、季節はまだ真夏。


秋に比べて落ち葉は少ない。


イコール、大したクッションにはならない訳で。



「あーヒリヒリするー」



当然、お尻へのダメージは大きかった。


「よいしょっと」


お尻を擦りながら立ち上がると、数メートル先に見えたのは目的地の屋根。


上から見るより遥かに大きいその風貌にゴクリと喉を鳴らした。


首を左右に振れば、その大きさに更に驚愕。


工場は先程の工場とは比べモノにならない程の大きさを誇っていて、ここから見る限り工場の端は見えない。


さっきの工場の二倍はありそうだ。



貴兄と中田が何故この工場を決闘場所に選んだのか、その理由が分かった気がした。


ここなら膨大な人数が入る。

闘うには持ってこいの場所だ。