用心の為一応鍵を閉め、外廊下の手摺りに身を預けて下を覗き込んでみた。
けど、一階はガランとしていて人の気配が全くない。
……もしかして誰もいないのだろうか。
そう思っていると、何処からかパタンと扉の閉まる音が聞こえてきた。
何処からだろう?
更に覗き込んで辺りを見回すと、階段の向こう側から誰かが姿を現した。
それは、
「冬吾くん!」
あたしにとってのお兄ちゃん的存在、冬吾くんだった。
「えっ!?凛音ちゃん!?って危ないっ……!」
「……へ?」
あたしを見るなりギョッと目を見開いた冬吾くんは一歩後ろに後退し、焦った様子で両手を振り回した。
それもその筈。
あたしの上半身は手摺りを越えて前のめりになり、今にも落ちそうなぐらい傾いていたからだ。
「凛音ちゃん!バックバック!」
ちょ、冬吾くんバックバックって……!
慌てすぎて意味不明な事を言っている冬吾くんに思わず吹き出してしまうあたし。
「凛音ちゃん!笑ってないでバック!!」
そんなに慌てなくても、と言いたくなるぐらい慌てている冬吾くんは、一向に動こうとしないあたしを見かねたのか凄い形相で階段を駆け上がってきた。
「うわっ!」
突然身体を起こしたせいか、バランスが崩れて身体が前後に揺れる。
「凛音ちゃん!!」
爪先が地面から離れ、身体はお腹の部分だけで支えられてる状態のあたしはまさに落ちる寸前。
そんなあたしを冬吾くんが後ろから抱き抱えるようにして降ろしてくれた。


