「場所は?」
「“シバサキ”」
「“シバサキ”、ね」
シバサキ?
聞き覚えの無い名前だ。
人の名前……じゃないよね。場所って言ってるし。
「やっと“あの時”のお返しが出来そうだな」
グルンと大きく首を回した煌は何故か満足げに口角を上げていて。
「……だね。どれだけこの日を待ち侘びた事か」
同じく壱さんも口元を緩めて嬉しそうに笑っている。
あの時のお返しって何?
二人の意味深な含み笑いに、コテンと首を傾げる。
っていうか壱さんの笑顔が怖いんですけど……。
最近よく見る堕天使壱様にぞわりと背中に寒気が走る。
今降臨するという事はどうやら壱さんはDに御立腹らしい。
「凛音、お前は此処で待ってろ」
「え!?一緒に行けないの!?」
一緒に連れて行ってくれるものだと思っていたあたしは我先にとソファーから立ち上がっていた。
それなのに、中腰になった所で十夜に手を引かれ、再びソファーへと沈められてしまう。
「怪我させたくねぇって言っただろ?」
そう言った十夜の瞳は余りにも真剣で。
「……分かった。今日は大人しくしておく」
本当に心配してくれているんだなというのが伝わってきたから、今回は素直に頷いておくことにした。
「気をつけてね?壱さんと煌も」
置いて行かれるのが少し寂しくて不貞腐れ気味にそう言うと、
「ありがと凛音ちゃん。早く帰ってくるから待っててね」
壱さんが困ったように眉尻を下げ、ポンポンと頭を撫でてくれた。


