その後、十夜はメンバー達に暴走を中止する事を伝え、怪我の酷い者は病院へ行くようにと声を掛けた。
あたし達は一旦二階へと上がり、陽と彼方からの連絡を待つ。
壱さんはパソコンに向かい、十夜とあたし、そして煌はソファーに身を沈め連絡を待った。
沈黙が流れる中、室内に響くのは壱さんが奏でるキーボードの音だけ。
タイピングの音が妙に心地好い。
だからだろうか。この静か過ぎる空間の中でも気にせずに居られた。
「──もしもし?」
彼方から連絡が来たのはタイピングの音に耳を傾けて数分経った頃。
電話に出た十夜は幾つかやり取りを繰り返し、
「分かった。今から行く」
そう言うと、早々と電話を切った。
「十夜、」
「零が“D”の居場所を突き止めた」
「……零が?」
零くんがDの居場所を?
思いもよらぬ十夜の言葉に煌と壱さんが訝しげに眉を潜める。
「鳳皇と違って水皇は幹部全員揃っていた。Dはこれ以上続けても無駄だと悟ったんだろう。ある程度暴れると直ぐに去っていったらしい。
零はその後を下の奴等に追わせたと言っていた」
「……成る程な。流石零だぜ。抜かりねぇ」
感心するように吐き出された言葉は壱さんへと向けられていて。
「俺達も負けてられないね」
含みあるその言葉に軽く肩を竦めて見せた壱さんは、いつもとは少し違う悪戯な笑みを浮かべた。


