「十夜……」
きっと、やられた皆を見て一番傷付いているのは十夜だ。
奴等に欺かれ、此処を空けてしまった事を悔いている。
「十夜、皆の元へ行こう。皆が待っているのは総長である十夜だから」
そう言って、撒きついている十夜の腕をギュッと強く握り締めると、それに応えるように十夜の腕の力が強くなった。
あぁ、という小さな呟きと共に撒きついていた腕が離れていき、代わりに強く握り締められた右手。
あたしもその手を強く握り返し、十夜の後に続いて車から降りた。
「総長!!」
降りた途端、倉庫内に響いた十夜の名。
まるで縋りつくようなその呼び掛けにキュッと胸の奥が熱くなる。
「総長、すみません!」
「俺達のせいで……っ」
口々に告げられる謝罪の言葉。
痛みに堪えながら発せられるその言葉からは、皆の悔恨の思いが感じられた。
皆も悔しいんだ。
“鳳皇”という名を語っているにも関わらず簡単に敵を倉庫へ踏み込ませてしまった事が。
そして、血を流すまでやられてしまった事が。
悔しくて悔しくて仕方無いのだろう。
「お前等の所為じゃねぇ。奴等に嵌められた俺が悪い」
「総長……っ、」
「この人数でよくやってくれた」
「……っ、」
十夜から発せられたその言葉に悔しげな表情を滲ませる皆。
堪えるようにキツく噛み締められた唇と眉間に深く刻まれた縦皺は、まるで己の無力さに嘆き、悔いているように見えた。


