「獅鷹は?」


煌の返答の後、十夜は貴兄にも同様に問い掛けた。


「獅鷹も同じだ。暴走の準備をする為に倉庫へ集まってたところを襲撃されたらしい。人だけじゃなくバイクまでやられたと言ってた」


「……そうか」


流石の十夜も顔を顰めずにはいられないらしく、難しい表情で貴兄を見据えている。


「十夜、今日の暴走は一旦中止しようぜ。もしかしたらまた奴等が乗り込んでくるかもしんねぇし、何より下の奴等が怪我してる。とてもじゃないがバイクの運転なんて出来ねぇ」


「あぁ。今は暴走よりも倉庫に帰る事が先決だ」


「倉庫の状況が分かり次第また連絡する」


「分かった」


考え方が似ている二人は話し合いも早い。


難無く話し合いを済ませた十夜と貴兄は目配せをし合い小さく頷くと、各幹部達と話し始めた。


「凛音ちゃん?」

「え?」


不意に呼ばれて振り返ると、真後ろに居たのは遥香さんと葵さんの二人。


「さっきは助けてくれてありがとう。煌に凛音ちゃんがリンくんだって聞いてビックリしちゃった」


「……あ、ごめんなさい、嘘ついてて」


まるで感心するようにそう告げられたあたしは慌てて頭を下げて謝った。


「凛音ちゃん謝らないで。その格好は凛音ちゃんにとって必要なものなんでしょう?暴走族と関わる事が危険だって事、私も分かってるつもりだから」

「遥香さん……」


そうだ。遥香さんも十夜の幼馴染み。


狙われる可能性がある事ぐらい十分承知しているんだろう。