-客観的視点-


「──もしもし?あぁ。こっちは上手くいった」


「シーン!俺活躍したんだぜ!?頑張ってやられたフリしたんだからご褒美くれよな!」


助手席から身を乗り出し、後部座席にいるキョウに満面の笑みを向けたのはカイ。


そのカイが話し掛けているのはキョウではなく、キョウが話している電話の相手。


「……カイ、ちょっと黙ってろ」


会話を中断され、カイに睨みを利かせたキョウは再び電話の相手に話し掛ける。


「はーい。ちぇ、俺やられ損じゃん。すっげぇ痛かったのに。次会ったら絶対本気でやってやる」


キョウに睨まれ、座席に正しく座り直したカイは拗ねたように愚痴を零した。


「……そうか。お前に頼まれた通りに言ったぜ?まあアレが東條 凛音の耳に入るかどうかは分かんねぇけど」


そう言ったキョウはゆるりと口角を引き上げ、足を組み直す。


「お前の指示通りにしたんだ。今度はこっちの指示に従って貰う」


その言葉にカイが後ろを振り返り、目が合った二人は同時に笑みを浮かべ頷き合った。




「……あぁ、ジワジワと追い詰めてやるよ」



十夜達は知らない。




「鳳皇と獅鷹、奴等に“破滅”を」




“D”が潰したいのは──




「──そして、東條 凛音に“真実”を」




鳳皇と獅鷹だけでは無いという事を。




 -客観的視点 end-