こめかみにあった唇が目尻と額、そして唇へとゆっくり移動していく。
触れているのか触れていないのか分からないキス。
それが何だかもどかしくて、気持ちを抑えるようにキュッと十夜の服を握りしめた。
最後に額同士が重なり合い、愛しい漆黒の瞳と視線を交える。
一時の沈黙が流れ、妙な気恥ずかしさが込み上げてきたあたしは目を閉じ、キュッと顎を引いた。
「……ん…」
それを許さないとでもいうように両頬を覆っている手があたしの顔をそっと持ち上げる。
「……凛音。遥香とその連れ、お前のお陰で拉致られなくて済んだ。感謝してる」
「十夜……」
「けど、お前に行かせるのは今回だけだ」
「……っなんで!?あたしもみんなの役に立ちたい。みんなと一緒に闘いたい!」
「駄目だ」
「なんで!?」
「俺が冷静じゃいられない」
「……え?」
今、なんて……?
「……十夜?」
探るように十夜の瞳を見つめると、今度は十夜が顔を逸らした。
「……お前に何かあったらと思うと冷静じゃいられなくなるんだよ」
「十夜……」
少し拗ねたような口調と羞恥に染まった横顔。
さっきとはまるで違う、ううん、正反対とも言える十夜の表情にキュンと胸が疼く。
……可愛い。


