「……あ、ごめん。一度リンになると癖でなかなか戻らなくて」
一瞬何を言われたのか分からなかったが、直ぐにその言葉の意味を理解した。
長年男装してると変に定着するんだよね。
リンになりきりすぎだって貴兄達にもよく言われる。
「どこ打った?」
「へ?」
「頭、床に打ち付けただろ?」
「あ、あぁ、頭。右のこめかみ辺り。すっごい痛かった……。見て、ちょっとたんこぶ出来てる」
そっとこめかみ辺りを触るとさっきと変わらずぷっくりと膨れていて。
触れた所にピリッと痛みが走る。
うー、ムカつく。
たんこぶに触れる度あの男を思い出して腹が立つ。
「……って、ちょ、十夜!?……っ」
不満げに唇を尖らせていると突然落ちてきた影。
その影に気付いて視線を上げれば、何故か真上に十夜の端整な顔があった。
「……っ」
驚愕の声が上がったのと同時にこめかみにそっと落とされる唇。
触れたその温もりに肩が小さく揺れ、心臓が一つ音を立てた。
「……十夜、痛い」
「心配させた罰だ」
「……うっ、ごめんなさい」
確かに一人突っ走ったあたしが悪い。
けど、今そんな意地悪しなくても……。
「お前に怪我させるとか冗談じゃねぇ」
「……十夜?」
「来るの遅くなって悪かった」
「……っ、とぉ……」


