濃かった白煙は次第に晴れていき、うっすらと床やテーブルが見えてきた。
人影も見える。
『十夜!煌!』
誰だか分からないけど、その人影に向かって呼び掛けた。
『……っ、』
「リン」
白煙から姿を現したのは貴兄と慧くん。
そして──
『貴──っえ?遥香さんと葵さん?』
何故か貴兄の後ろに捕まっていた筈の遥香さんと葵さんがいた。
『なんで!?』
二人は奴等に連れ去られようとした筈じゃ……。
「白煙が上がった瞬間、あの人達、私達を突き飛ばして走って行ったの」
『……突き飛ばして?』
意味が分からない。
奴等は遥香さんを連れ去るのが目的じゃなかったの?
その為に煙幕弾を投げたんじゃ……。
『……じゃあアイツ等は?』
「分からない。でも出入口は一つしかない筈だ」
貴兄が固い声色でそう言い放った時、
「オイッ!どうなってんだよ!!奴等いねぇぞ!?」
陽と彼方が険しい表情で走ってきた。
「奴等がいないってどういう事だよ?」
思いもよらぬ彼方の言葉にその場にいた全員が顔を顰める。
……本当にどういう事なんだろう。
出入口は陽と彼方がいた一つしかないんでしょ?
なのになんで居ないの?
まさか消えたとでも言うのだろうか。
「裏口から逃げたんだよ」


