Ri.Night Ⅳ


「でも十夜が!!」


「いいから奴等を捕まえろ!絶対逃がすなっ!!」


「……分かった。陽、行くぞ!」


煌の指示を受けた陽と彼方が声を荒らげながら動き出す。


二人の足音が聞こえた時にはもう白煙に包まれていて、前方はおろか、左右後方どこを見回しても真っ白な状態だった。


「お前はそこから動くな!」


『煌……!』


「貴音、奴等を頼む!」


「分かった!」


口を挟む暇もなく散っていく二人。


『煌……!!』


こんな所で座り込んでいる場合じゃない。


十夜の元へ行かなきゃ。


今すぐ十夜の傍に行かなきゃ……!!



「きゃっ……!!」


「……痛っ、」


煌の後を追おうと再び足に力を入れた時、前方から聞こえてきたのは遥香さんと葵さんの声。


そうだ。遥香さんと葵さんがまだ捕まったままだったんだ。


まさかアイツ等、二人を連れ去るつもりでこの煙幕弾を……!?


何処まで用意周到な奴等なんだ。

まさかこんな事までするなんて。



最早頭の中は破裂寸前。


刺された十夜。

連れ去られようとしている遥香さんと葵さん。


その両方が頭の中でぶつかり合い、冷静な判断が出来ない。



『……っ、十夜、』


けど、やっぱり二人に勝(マサ)ったのは十夜だった。


二人には悪いけど、あたしは何よりも先に十夜の元へ行きたい。


だって、今もまださっきのあの光景が脳裏に焼きついているから。


腹部に刺さったナイフ。

歪んだ十夜の横顔。


それが、脳裏に焼き付いて離れない。