Ri.Night Ⅳ


「俺等は凛音に危害を加えなかったからな」


「加えてたらお前等もタダでは済まなかっただろうよ。それにしても馬鹿な奴等だよな。よりにも寄って十夜の目の前で凛音に手を出すなんて」


「十夜だけじゃねぇよ。十夜がいなかったら俺が奴等を潰してる。それをアイツに譲ってやってんだ。手加減してもらっちゃ困る」


「……ったく、相変わらずのシスコンだな」



音量こそ小さいものの、この張り詰めた空間の中で普段と変わらない口調で喋る二人。


煌に至っては愉快そうに小さな笑みまで浮かべている。


ホント緊張感のない二人だ。


この一触即発状態を目の前にして笑っていられるなんて、この二人は一体どんな神経をしているんだろう。


あたしなんかさっきから心臓が煩くて煩くて仕方ないのに。



「いい加減に──」


──ピリリリリリ……。


十夜がそう言葉を発した刹那、まるで遮るように鳴り響いた携帯の着信音。


この着信音……?


そう。その着信音には聞き覚えがあった。


それは──



「カイ、時間だ」



キョウとかいう男の着信音。



……っ、カイって……。


その名前を何度も聞いていたあたしは誰よりも早く反応し、直ぐ様蹲っている男へと視線を走らせた。


俯いたままの男はベストの内側へと右手を突っ込んでいて。


──まさか。


その姿を見た瞬間、嫌な予感が胸中を襲った。




「──やっとかよ。待ちくたびれたっつーの」






『……十夜っ!!』


けれど、叫んだ時には既に遅く。


男の右手はベストから引き抜かれていた。




「──バイバイ。総長サン」