Ri.Night Ⅳ


「お前、名前は?」


「い゙っ……!」


突然掴まれた髪の毛。


ピンで留めていたお陰でウィッグが外れる事はなかったけど、引っ張った事によってピンが髪を引き上げ、頭皮に激痛が走った。


「……何だコレ。カツラか?」


ヤバイ。バレた。


毛質で気付いたのか、それとも引き上げた拍子にウィッグがずれたのか。


どちらか分からないけど、この髪の毛がウィッグだとバレてしまった。


冷や汗が一筋、背中を伝う。


『はな──』


そう言いかけた時。


「リン!!」


バンッと勢い良く開いた扉から、鳳皇幹部、そして貴兄と慧くんが店内へと雪崩れ込んできた。



「十夜!!」

「十夜さん!!」


遥香さんと葵さんが十夜を呼ぶ。


『十夜……』


あたしは背中から受ける圧迫感のせいで上手く声が出ない。



「──リン」



その呟きと共に十夜の視線があたしと男に向けられて、目が合った瞬間、十夜の目が鋭く細められた。




「……テメェ、生きて帰れると思うなよ」