「……え?」
不意に胸中を襲ったのは嫌な予感。
『遥香さん……!!』
急いで遥香さんを呼び止めたが既に遅かった。
呼び止めた時にはもう遥香さんはドアを引いていて。
ヌッと店内から出てきた腕に引き摺り込まれていく。
「はるっ……きゃあっ!!」
『葵さんっ!!』
咄嗟に手を伸ばすが間に合わず、葵さんまでもが店内へと消えていった。
『チッ』
直ぐ様二人を追ってドアを引くと、
「リンくん!来ちゃ駄目っ……!!」
遥香さんの叫声が聞こえた。
「──ようこそ、“Tear Drop”へ」
店内へ入った瞬間、耳に入ってきたのは愉しげな男の声と胸元に迫る人間の足。
『……っ!!』
咄嗟に両腕を構えた。
が、目前まで迫っている足を避けられる筈がなく、足はガードした両腕に直撃。
「リンくん!」
余りの衝撃に足が耐え切れず、そのまま後方へと吹っ飛んだ。
受け身を取る余裕もなかったあたしは気付けば地面へと叩きつけられていて。
『……っ、』
背中全面に走る激痛に一瞬息が詰まる。
「……オイオイ。カイ、お前手加減してやれよ」
「悪ぃ悪ぃ、つい」
カ、イ……?
痛みを堪えてゆっくりと起き上がると、視線の先にはあたしを蹴り飛ばしたであろう男とさっきの声の主らしき男があたしを見て笑っていた。
その隣には二人の男が遥香さんと葵さんを捕らえている。
──コイツ等?


