「早く!!」


『……っ、分かった。俺達は雷さんのお店に居る。場所は!?』


「知ってます!」


『じゃあそこに来い!』


二人に向けてそう叫ぶと、返事も聞かずに遥香さんと葵さんの手を引いて走り出した。



闘おうと思えば闘えた。


けど、いくら余裕があると言っても遥香さん達を護りながら闘うにはそれなりに危険が伴う。


二人に怪我をさせたら何の為にあたしが来たのか分からないし、そんなのあたしのプライドが許さない。


二人は必ず無傷で雷のお店に連れていく。


その為には彼等に頼るしかなかった。



彼も元は鳳皇の人間。

それなりの力は持ち合わせているだろう。



『遥香さん、葵さん、もうすぐ着きます!頑張って!!』


「も……無理!」


「葵、もうちょっとだから!」


充と智広に任せたけど、結局その後大通りに出てさっきの連中とは違う奴等に見つかってしまった。


幸いな事に雷さんのお店はもう目と鼻の先。


このまま行けば何とか逃げ切れそうだ。





「あった!雷さんのお店!」


遥香さんが安堵の溜め息を漏らし、ドアノブに手を掛ける。


「……っ、そんなっ……!」


『遥香さん?どうし──』


遥香さんの手元を覗き込むと、ガチャガチャと左右に荒々しく回されているドアノブ。


──まさか、

まさか………!!


「雷さん!!雷さん、いないんですか!?」


ドンドンドンと両手でドアを叩く遥香さん。