けど、その言葉に反応してみせたのな彼等ではなく遥香さんだった。


……遊大、遥香さんに獅鷹だって言ってたんだ。


目を見開いて驚く遥香さんにあたしも驚愕する。



「総長、いや、桐谷さんに頼まれて?じゃあアナタは……」


『仲間だよ。遥香さん達を助けにきた。今、鳳皇、獅鷹両幹部がこっちに向かってる。……遥香さん、彼等は?』


「充(ミツル)くんと智広(トモヒロ)くん。充くんは元鳳皇で私の護衛をしてくれてたの。智広くんは充くんの友達」


『……そうですか』


元鳳皇っていうのが物凄く気になるけど、見たところ遥香さんに危害を加えそうには見えなし、特に問題は無いだろう。


「充くんに助けを求めた事は十夜も知ってるの」


『とぉ……総長も?』


じゃあこの人達も雷さんのお店に連れて行った方がいいって事?


『じゃあ……っ、』


「……リンくん?」


──呑気に考えてる暇なんてなかった。


『チッ。奴等が来た!アンタ達も来て!』


早く此処から逃げなければ奴等に捕まる。


『早く!!』


右方から迫り来る複数の足音に焦りが募り、急かす声が必然的に荒くなる。


『何してる!?早く来い!!』


遥香さんと葵さんの背中を押して走り出したものの、何故か充と智広が動こうとしない。


『オイッ──!』


「此処は俺達に任せて下さい!二人を頼みます!」


『なっ……!?』