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「でーきたっ!」


「……いつ見ても凄ぇな。その化けっぷり」


変身し終えたあたしを見て、まるで化け物を見るかのように顔を歪める煌。


「黒髪、キマッてるでしょ?」


普段なら絶対に言い返すあたしだが、今日はスルー。

何故なら、今、物凄く機嫌が良いから。



「今日のテーマは名付けて“インテリ”!」


っぽいでしょ?とサラッサラの黒髪を摘まんでポージング。

ついでに一回転。


そんなあたしを見て、陽と壱さんが拍手をしてくれた。


「……彼方か」


「え……それ嫌」


煌の余計な返答にテンションが急降下。


回転が止まり項垂れるあたしはテンションの起伏が激しい。


まぁ、確かにインテリと聞けば彼方だけどさ。

なんか嫌。



「りっちゃん、それ酷くね?」

「………」

「え、無視?なぁ、りっちゃんってば!」


不服そうに呟いたと思いきや、鬱陶しい程しつこく話し掛けにくる彼方。


「りっちゃん!りっちゃんってば!」


分かった。分かったからそんなに連呼しないでよ。


「彼方」

「何!?」

「眼鏡貸して」

「は?」


手を差し出せば、「眼鏡?」と間抜け面で首を傾げる彼方さん。


ホーント、黙ってれば良い男なのにね。勿体無い。



「そう、眼鏡」

「凛音、眼鏡なんてどーすんの?」


彼方と同様、コテンと首を傾げる陽が堪らなく可愛くて、


「陽っ!!」

「手を広げるな、手を」


抱き付こうとしたら煌に即行阻止された。