最後の一段を下りきった後、集まる視線を振り切って階段の上にいる五人へと目を向けた。


交わる、視線。

困惑混じりの視線が真っ直ぐあたしを射抜く。



今度は、あたしが“意思”を伝える番。




「あたしは、護られるだけの“お姫様”になんかなりたくない」



──思っている事を全て伝える。



「“此処”で、皆と闘う」



──たとえ、反対されようとも。



「あたしも皆を護りたいから」



──これだけは譲れない。



「ううん、護ってみせる」



──絶対に。





「“両翼、共に舞う”。そう“此処”に刻んだのは十夜だよ」



そう言って左腕を見せると、十夜の目が微かに見開いた。



「あたしは“鳳皇”を護り、共に闘う。そんな“鳳凰妃”になりたい」








「──上等」


あたしの言葉に至極嬉しそうに口角を引き上げた十夜は、一言だけそう言うとおもむろに歩みを進めた。

そして、そのまま階段を下り始める。



「行くぞ」


十夜の後に続く鳳皇幹部達。


十夜を先頭に堂々たる態度で階段を下りてくるその姿は、最早圧巻としか言い様がなかった。



五人の口元に浮かぶのは満足げな笑み。


それはあたしの言葉を汲み取ってくれた証だった。



「俺の傍らで舞うのはお前しかいない」




──今日、“鳳皇”の片翼、“鳳凰妃”が誕生した。


凰妃が告げた言葉は後世へと語り継がれ、これから新たな伝説を創る事となる。




歴代最強と謳われた鳳皇八代目総長、“黒皇”


その傍らで舞うのは、一羽の美しき霊鳥、“鳳凰妃”



両翼が揃いし時、新たな伝説が幕を開ける。