「十夜……」
「……あぁ」
繋いでいた手を互いに強く握り締める。
十夜は今、心の中で目一杯噛み締めているのだろう。
このチームの総長で良かったと。
みんなと出逢えて良かったと。
心からそう思っているに違いない。
あたしも、思ってる。
皆に出逢えて良かったって。
仲間になれて良かったって。
心の底からそう思ってる。
「ありがとう。お前等には本当に感謝している。
そして、“鳳皇”というチームの総長になれた事を誇りに思ってる」
そう言った十夜の口元には小さな笑みがあった。
それは十夜の想いが込められた笑み。
その笑顔を見た皆は顔を見合わせると嬉しそうに笑った。
「総長ー!」
「総長最高!!」
倉庫内に響き渡る総長コール。
皆の笑顔に胸が熱くなる。
あぁ……十夜はこんなにも皆に愛されてるんだ。
こんなにも尊敬されてる。
今までにも幾度となく感じてきた絆を改めて感じた瞬間だった。
「俺には護るべきものが出来た。コイツを……東條 凛音を“鳳凰妃”として一緒に護って欲しい」
そう言った十夜はあたしの肩を静かに抱き寄せた。
十夜の視線がメンバーからあたしへと移る。
「今日からお前は“鳳皇”の“妃”だ。ここに居る皆でお前を護ってやる」
祝福の言葉が飛び交う中、十夜の優しい声色があたしの鼓膜を刺激した。
甘い甘い誓いの言葉。
あたしはその言葉に返事をする。
「ごめんね、十夜」と。


