「アイツ等、はしゃぎすぎだろ」
「まぁまぁ、そう言うなって。分かってても嬉しいモンは嬉しいんだよ」
「……だな」
煌の肩に手を乗せ、苦笑する彼方に煌も呆れ混じりに苦笑し返す。
壱さんと陽は顔を見合わせ、嬉しそうに笑っていた。
まるで自分の事のように喜んでくれる皆。
どうしてそんなに優しいんだろう。
あたしは皆を裏切ったのに。
皆を裏切って去ったのに。
「凛音?」
ぎゅっと十夜の手を握り締める。
駄目だ。あたしはまだ肝心な事を言ってない。
謝らなきゃ。
皆に謝らなきゃ。
そして、“ありがとう”って言わないと。
じゃないと“鳳凰妃”にはなれない。
ううん。なっちゃいけない。
皆に、ちゃんと謝罪と感謝の言葉を言わなきゃ。
決意を込め、きゅっと唇を噛み締める。
そして、
「みんなっ!!」
声を最大限に張り上げ、皆を呼んだ。
男しかいないせいか、女の声はよく目立つ。
歓声がピタリと止み、皆一斉に此方へと振り返った。
あたしを見たのは鳳皇メンバー、傘下の人達だけではない。
両隣にいた煌達もあたしを見て驚いていた。
皆の視線があたしに集中する。
妙な緊張感が漂う中、意を決して口を開いた。
「皆ももう知ってると思うけど、あたしは獅鷹総長の妹です。ずっと黙っててごめんなさい」
そう謝罪の言葉を口にし、深く頭を下げた。


