煌、彼方、壱さん、陽の順に玄関を出ていく。
その後に十夜、あたしと続いた。
玄関を出ると、先に出ていった煌達が既に階段の前で並んで待っていた。
十夜に手を引かれ、四人の真ん中へと歩いていく。
さっきまで騒がしかった倉庫内。
今はもうシンと静まり返っていて、異様な雰囲気を漂わせていた。
眼下に広がるのは人の海。
此方を見上げるその熱い視線に鼓動が早くなるのを感じ、柄にもなく緊張が走った。
十夜と共に四人の真ん中に身を置き、階段下を見下ろす。
暴走の日にもこれと同じ光景を見た。
傘下全てが揃い、鳳皇幹部に忠誠するその姿を。
十夜が口を開くのを今か今かと待ちわびているメンバー達。
その視線に応えるように、十夜がゆっくりと口を開いた。
「皆に知らせたい事がある」
倉庫内に響き渡ったのは低く威圧感溢れる声。
その声に一瞬にして空気が張り詰めた。
皆、ゴクリと喉を鳴らしていそうな程真剣な眼差しで十夜を見据えている。
「昨日、コイツが“鳳凰妃”についた」
「……い、よっしゃぁー!!」
「凛音ちゃんが鳳凰妃に!?やったぁー!!」
十夜がそう言い放った瞬間、倉庫内に地響きがしそうな程凄まじい歓声が放たれた。
その歓声は個々の声が聞き取れない程大きく、まるでさっきの静寂が嘘のようで。
「みんな……」
何を言っているのか分からないけど、あたしが“鳳凰妃”になった事を凄く喜んでくれている事は分かった。


