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「さっきは本当にありがとう。はじめまして、ではないよね、凛音ちゃん。遥香です。よろしく」


「り、凛音です。よろしくお願いします」


「こっちは友達の葵」


「はじめまして、葵です。よろしくね」


「よろしくお願いします」


美女二人に笑いかけられ、居心地の悪さを感じてしまうのは仕方ないと思う。


それ程までに可愛らしい笑顔。


二人揃えばその威力は二倍だ。




何故二人があたしの前に居るのかと言うと、それは十夜が壱さん達が待っている駐車場へ行けと二人に言ったから。


『誤解するなよ。さっきの奴等がまだその辺にいるかもしれない。帰るのなら下の奴等に送らせようと思っただけだ』


十夜はそう言っていた。

その判断は間違っていないと思う。


あたしが十夜の立場だったらきっと同じ事をするだろうから。


だから、二人が此処に居る事は気にしない。



「ねぇねぇ、遥香。私、凛音ちゃん何処かで見た事あるような気がするんだよね」


「葵もそう思った?私も。どこでだろう?」


「………」


ドンキ・〇ーテです。なんて言えない。


と言うか、言っても良いのか分からない。


あたしが二人と会っていた事はみんな知らないし。

これって言った方がいいんだろうか。


「こんな間抜け面、その辺に転がってんだろ」


とか思ってる内に言うタイミングを逃してしまった。


って言うか今、聞き捨てならん事を聞いたような。



「煌、そんな事言っちゃ駄目でしょ!」


「イテッ。……っつーかお前も暴力女だったな、遥」


「もう!それ止めてって言ってるじゃない!」


ニヤリと馬鹿にするように笑う煌と、口を尖らせて怒る遥香さん。


“煌”

“遥”


親しげに呼び合う二人は本当に仲良さげで。