「……十夜、ごめん、ごめんね。大丈夫だから。分かってる」


分かってるから。

十夜があたしを想ってくれてる事分かってる。

ちゃんとこうやって態度で示してくれてるから。大丈夫。



「お前だけだから」


「……うん」


あたしも、十夜だけだよ。


こんなに好きだと思うのも。

こんなに不安になるのも。


好きだから、不安になるの。

でももうそれは表に出さないようにする。



「十夜、好き……」


心配かけたくないから。


「凛音……」


十夜にこれ以上心配かけたくないから。

哀しい顔、させたくないから。


「……っ」


そっと触れる唇。


それはどの言葉よりもハッキリと“想い”を伝えられる方法。


不安を掻き消して。

“好き”という想いだけが心を満たしていく。




「傍にいるから」


「……うん」



そうだ。

昨日十夜と約束した。



“傍にいる”

“もう離れない”


そう誓い合った。


不安になったらその言葉を思い出そう。


十夜の言葉を。

十夜の声を。

十夜の顔を。


思い出せばきっと不安なんて消えていく。


きっと──