「ホラ、行こうぜ」
「ちょ、やめ──」
「お、オイ!アレ……」
「あ゙?……っ」
遥香さんの腕を無理矢理掴んだ男が仲間に促され、こっちを振り向いた。
瞬間、一気に青ざめた男。
どうやら男は十夜達を知っていたらしい。
その男の傍らに立つ遥香さんへ目を向けると、遥香さんは十夜を見て驚いていた。
それと同時にさっきまで恐怖に満ちていた瞳に安堵の光が灯る。
っていうか今気付いた。
遥香さんの右隣で隠れるように身を縮めている葵さんの存在に。
まさか葵さんまでいたなんて。
小柄だから見えなかったんだ。
そう、だよね。
一人でこんな所にいる訳ないよね。
この二人ならそりゃナンパもされるだろう。
「……何でコイツ等が……っ」
「………」
動揺を隠せない男とは反対に無表情を貫く十夜。
いや、無表情ではない。
漆黒の瞳に宿るのは怒りの灯火。
怒ってる。
十夜が遥香さんを連れて行こうとする男達に対して怒ってる。
遥香さんを心配して怒ってる。
チクリ。胸の奥が痛む。
「無理矢理とかダッセー」
怠そうに首を回しながら男達に向かってそう言い放ったのは煌で。
煌は男達に目を向けず通り過ぎると、店頭に並んでいる漫画雑誌に手を伸ばした。
そして、パラパラと捲る。


