「居た!」
角を曲がる直前で速度を落とし、あたかも歩いていたかのように装う。
煌の言った通り、遥香さんは派手な風貌の男三人に絡まれていた。
髪色は金髪、赤、茶髪にメッシュ。
耳には幾つものピアス。
服装はもう説明出来ない程カラフルで。
見るからに頭の悪そうな連中だった。
周りに居る通行人は遥香さん達を気に掛けているものの助けようとはしない。
巻き込まれたくないからだろう。
結局みんな自分が一番可愛いんだ。
まぁ仕方ないよね。
相手に勝てる術がなければ立ち向かって行こうだなんて思わないだろうから。
「え?あ、アレ……」
「……え、もしかしてあれって桐谷さん?え?鳳皇?」
道のど真ん中を颯爽と歩くあたし達を見て、すれ違いざまに耳を寄せ合う女の子達。
他にも何人か十夜達を見て何か言っている。
十夜達を知っているという事は同じ高校生なんだろう。
ちらりと横目で十夜を窺うと、その表情は無に近く、煌と陽なんて遥香さん達とは全然違う方向を見ていた。
キミ達はどれだけ演技派なんだ。
変な感心をしながら遥香さん達に少しずつ近付いていく。
否、遥香さん達にではない。
本屋に、だ。
これは“偶然”だから。
「別に何もしねぇって。楽しくカラオケするだけじゃん。な?行こうぜ」
「あ、もしかしてキミ達カラオケ嫌いなの?じゃあ違うとこでもいいよー?」
聞こえてきたのは定番とも言えるナンパ文句。
もしかしてあたし達が来るまでずっとこの会話を繰り返していたのだろうか。
それってかなりウザイ。
あたしなら絶対キレてる。


