「……え、何でりっちゃんが?」
車内から出てきたあたしを見て、怪訝な表情で十夜を見る彼方。
十夜はあたしを連れて行かないと思っていたのだろう。
「十夜、全員で行ったら目立つんじゃない?」
彼方から十夜に視線を移してそう言うと、
「十夜、凛音ちゃんの言う通りだ。全員で行ったら目立つ。俺は車で待ってるよ」
応えてくれたのは壱さん。
言い終わったのと同時にリモコンキーで車のロックを解除して、車へと戻っていく。
「じゃあ俺も待ってるよ。陽はどうする?」
壱さんに続いてそう言った彼方は、ドアに手を掛けながら陽にそう問い掛けた。
「俺は一緒に行く」
「……分かった。じゃあ早く行け。何かあったら電話しろよ」
「分かった!」
片手を上げる彼方に手を振ると、その場から駆け出した。
「煌、どの辺!?」
「直ぐそこだ。そこの角を右に曲がったら本屋がある。その前にいた」
角を曲がったらすぐ。
という事は曲がる手前で歩かなければいけない。
これは“偶然”。
“偶然”を装わなければ意味がないんだ。
知り合いだとバレないようにしなければ。


