「オイオイ、マジかよ」
「……え?」
交差点の信号に引っ掛かった時、窓の外を見ていた煌がぽつり、呟いた。
「煌?」
焦り混じりの声色に異変を感じたのか、壱さんが身体を少し前へと倒し、助手席側の窓を見る。
「……っ、十夜!遥香ちゃんが……!」
窓の外へ目を向けた途端、普段穏やかな壱さんが珍しく声を荒らげ、振り返ってきた。
「……遥香?遥香がどうした」
繋いでいる手がピクリと動く。
と同時に、座席へ預けていた身体をゆっくりと起こしたのが気配で分かった。
「………っ」
振り向けば、目の色を変えた十夜がいて。
その瞳を捉えた瞬間、心臓が鈍い音を立てた。
……十、夜?
「遥香ちゃんが変な奴等に絡まれてる!」
「……っ」
言い終わる前に信号が青に変わり、車が急発進。
真っ直ぐ進む筈だった車は指示機を出して左車線に入り、そのまま車道沿いにあるパーキングへと入った。
「凛音、すぐ戻る。待ってろ」
「……っ、待って、十夜!」
腰を上げようとする十夜の腕を掴んで引き止める。
あたしを見下ろす十夜の瞳にはさっきと変わらず焦りの色が浮かんでいて。
早く助けに行きたいという想いが感じられた。
幼馴染みが危ないんだからそう思うのは当然だと思う。
「十夜達が行ったら遥香さんが危ないんじゃないの!?」
「……っ」
あたしの言葉に息を呑む十夜。


