Ri.Night Ⅳ

気付けば十夜の膝に横向きで倒れていて。


「───」


背中に微かな重みを感じた瞬間、耳元で小さな囁きがあたしの鼓膜を震わせた。


「……っ、うん」


甘くて、優しい。

けれど、魅惑的な囁き。



“俺からも逃げらんねぇから”



それは、あたしにとって泣きたくなるほど嬉しい言葉で。


十夜の“愛”を感じる言葉だった。




じわり、と目頭の奥が熱くなる。

込み上げてくる涙を堪える為に慌ててグッと目を瞑った。


今泣くのは恥ずかしい。


十夜だけならまだしも皆も居る。

だから、我慢しなきゃ。




「陽?どうしたの?」


何とか堪えてゆっくりと身体を起こすと、何故か陽がさっきの体勢のままで顔を隠していた。


両手で顔を覆っているその姿はまるでいないいないばぁをする直前で。


「もう終わった?」

「何が?」


少し手をずらして此方を見る陽に首を傾げながら問い掛ける。


「陽くんは初ねぇ~。可愛い~」

「うっさい彼方!」


パッと手を離した陽が少し頬を染めながら彼方に殴り掛かる。


はぁ……また始まった。


いつものように取っ組み合いを始める陽と彼方。

まぁ、取っ組み合いと言うよりは彼方が陽の攻撃を茶化しながら受け止めているだけなんだけど。


彼方も毎度毎度懲りないね。


陽弄りが大好きな彼方。

飽きないのかと聞きたくなる程暇があれば陽を弄っている。