「あたしも、嬉しい」
皆と帰れて嬉しい。
本当に、心の底からそう思ってる。
一度は離れた場所。
何のお別れもしないまま離れていった場所。
あの場所に足を踏み入れる事は無いと思っていた。
大好きだったあの場所へ再び戻れる日が来るなんて……そんな夢みたいな事絶対無いと思ってた。
だから、
「皆と帰れて嬉しい」
嬉しくて嬉しくて仕方ない。
「──凛音」
キュッと握られた手。
その手と共に響いたのは、優しさを含んだ重低音の声。
その声に振り向くと、いつもより一際輝く漆黒の双眸に囚われた。
「十夜?」
その甘美な瞳に囚われたら最後、自分からは逸らす事なんか出来ない。
「あの“籠”に戻ったら、絶対“外”には出してやらねぇ」
真っ直ぐな、そして、有無を言わさない強い瞳。
その揺るぎない瞳に囚われる。
“籠”……。
それはあたしにとって唯一無二の場所。
あたしが帰りたいと切に願っていた場所。
「出ろって言われても出ないよ、絶対」
その場所から出たいなんて絶対に思わない。
「──上等だ」
「わっ……!」
緩やかに引き上げられた口元。
その笑顔を捉えた瞬間、握られていた手を思いっきり引っ張られた。


