「それ以外でなら遊んでくれんの?」
「……悪ぃな。“その顔”に拳を振るう気にはなんねぇから」
「………」
さっきと変わらない口調に優音の顔が歪む。
不満そうなその表情にやっと離れてくれた貴兄が「お前喧嘩売るなよ」と優音の頭をクシャリと撫でた。
あたしはと言うと、見たくても見れなかった十夜の顔を見ていた。
と言っても一方的にではなく十夜もあたしを見ていて。
「ちょっとぐらい遊んであげてくれてもいいのに」
なんて冗談言ってみたり。
「お前が言うなよ」
近寄ってきた十夜が呆れた顔でコツンとあたしの頭を叩き、小さく笑う。
「桐谷、悪かったな」
「いや」
此方に向き直った貴兄が済まなさそうに笑いながら優音の頭にポンッと手を乗せる。
「例の件について何かあったらまた連絡してくれ」
「分かった。獅貴──」
「オイオイ。いつまでその呼び方なんだよ。貴音でいい」
呆れたようにフッと鼻で笑う貴兄。
「あ、いいけど本名はシークレットにしてるから幹部以外の前では“貴”でよろしく」
「分かった。俺も名字じゃなくて名前でいい」
「了ー解」


