Ri.Night Ⅳ


「りっちゃん、俺も抱擁!」

「分かった。お別れの抱擁ね」

「え、それはヤダッ!!」


どっちよ、ったく。


差し出した両手を勢い良く引っ込めるM男彼方にハァと深い溜め息。


こんなやり取りをしているけど、実はまだ貴兄と優音と三人、団子状態のままで。


貴兄が離してくれなきゃ優音もあたしも身動きが取れない。


そんな中、


「──凛音に怪我させたら許さねぇ」


耳元で優音の低い声が聞こえた。


凄みを感じるその声は優音の心情を表しているようで。


あぁ、心配してくれてるんだな、と思った。



「怪我なんてさせねぇよ。凛音は自分の身を挺してでも護る」


十夜……。


十夜の真剣な声色とその言葉がじわりと心に沁みていく。


少しずつ温かくなっていく心に自然と笑みが零れて、今すぐ十夜に抱きつきたい衝動に駆られた。



「怪我させたらボコボコにしてやる」


「ちょ、優音!?」


いきなり何を言い出すんだ、この子は。


顔を上げれば優音の目はあたしの後方へと向けられていて。


下からじゃハッキリと見えないけど、その真剣な瞳からは冗談なんかではないことが窺えた。



「じゃあ、これから先お前が俺に触れる事は無いな」


十夜にしては珍しい笑い声。


どんな表情をして言っているのか気になったけど、振り返らなければ見る事が出来なくて。


少し、今のこの体勢を恨めしく思った。