「ホラ、優音。いつまでも拗ねてないで早くこっち来い」
あたしの後方へと視線を向けた貴兄が手を高く上げて手招きする。
その手に振り返ると、
「優音……」
振り返った先にいたのは俯いたまま此方へと歩いてくる優音の姿。
余り喋らないと思ってたら拗ねてたのか。
「優音、そんなに拗ねないでよ。寂しいじゃん」
「………」
「あたしも遊びに来るから優音も来て。ね?」
下から覗き込むようにしてそう言うと、「……うん」と優音が頷いた。
まだ機嫌が直りそうにない優音に苦笑しながら歩み寄ると、そっと両手を伸ばして抱きしめた。
あたしも逆の立場ならきっと寂しくて拗ねてるんだろうなぁ。
「優音、大好──」
「優音ばっかずりぃ!兄ちゃんも仲間に入れろ!」
「ぐぇ」
「グッ……、ちょ……!」
突然覆い被さるように抱きしめられ、ヴッと呻き声を上げるあたしと優音。
……いや、優音と抱擁してるといつも貴兄が乱入してくるけどさ。
別に乱入はいいのよ。
けどね、力が強いの。
そりゃあもう半端なく。
「……オイ、馬鹿兄弟。此処でイチャつくのは止めろ。みんな引いてっから」
そんな事言われても!
っていうかそう言うんなら貴兄を離してよ!
「オラ、貴音離れろ。ったくお前等は凛音と別れる度その抱擁すんの止めろっつーの」
「いいじゃねぇか。兄弟愛を確かめてんだよ。な?凛音、優音」
「あぁ」
って頷くの!?


