「貴音、大人気ないよ」
「うるせー。嫌なモンは嫌なんだよ」
「……そのシスコンどうにかしろよ」
「慧、お前も寂しがってたじゃねぇか」
「貴音みたいに重症じゃないから」
スパンと言い放つ慧くんに貴兄は拗ねたように唇を尖らせる。
「桐谷、凛音ちゃんの事よろしくな?」
「……あぁ」
「泣かせたら許さないから」
そう言って、最後ににっこりと微笑んだ慧くんだけど、その微笑みは普段の微笑みとは正反対と言える程コワくて。
笑ってはいるんだけど目が笑っていない。
……コワイです、慧くん。
「慧、お前の方が大人気ねぇじゃねぇかよ」
「そう?ちょっとした忠告だけど」
「大丈夫!十夜が泣かせたら俺が慰めてあげ──」
「彼方ウザイ」
「ゴフッ」
突然背後から抱きしめてきた彼方にすかさずドスッと肘鉄を食らわせる。
「……りっちゃんの肘鉄。久し振りにりっちゃんの愛を感じたかも」
「キモッ!っていうかはーなーせー!」
肘鉄にダメージを受けながらもガッチリと抱きしめて離そうとしない彼方。
終いにはスリスリと頬擦りまでしてくる始末。
「彼方やめなよ!凛音ちゃん嫌がってるだろ!」
「い、壱さぁ~ん!」
「……あっ、油断した!」
救世主壱様の助けで無事馬鹿なたの腕から脱出。
やっぱ頼りになるのは壱さんだ。


