煌サン?皆が見ている前で恥をかいて貰いましょうか。

いざ、尋常に勝負!


「おーい。お前等んとこの総長サン先行ったぜー」


って………え゙?


突如降って湧いた声に踏み出していた足がピタリと止まった。


“お前等んとこの総長サン”?


その言葉に反応したあたしは流石だと思う。


勢いよく回れ右をすれば、さっきまですぐそこに居た筈の十夜の姿は既になく。


更に振り向けば遥か向こうに十夜がいた。


な、なんで先に行っちゃうの!?



十夜の真後ろには貴兄と慧くん。

そして、時人くんと遊大。


放って行くなんてヒドイ!


余りのショックに煌の事が頭から綺麗サッパリ抜け落ちて。

煌に見向きもしないで猛ダッシュで十夜達を追い掛けた。


「ッテメェ、逃げるのかよ!」


背後から聞こえる煌の声。


「りっちゃん!俺も行く!」

「凛音ズリィ~!」

「おー忠犬ハチ公みてぇ」


彼方や陽、嵐ちゃんの声も聞こえたけどスルー。


それがいけなかったのか、


「馬鹿凛音ー!」


煌が般若のような形相で追い掛けてきた。


ぎ、ギャーー!!


あたしが十夜を追い掛けていた筈なのに、いつの間にか追い掛けられる側になっていて。


「待ちやがれ!!」


まさに鬼ごっこ状態。