「……テッメェ、言わせておけば調子に乗りやがって。俺の方が強ぇに決まってんだろうが、バーカ!」
「馬鹿!?馬鹿って言った方が馬鹿なんですよーだっ!っていうかあたしの方が強いから!」
「はぁ!?俺の方が強ぇし!」
「あたしだし!!」
「俺!!」
「あーたーし!」
「よーし、分かった。どっちが強ぇかハッキリさせてやろうじゃねぇか。表出ろや!」
「おうよ!後悔すんじゃないわよ!」
顎で空きスペースを指した煌が来いよ、と目で合図。
その合図に声を上げながら歩き出す。
売られた喧嘩は必ず買うのがあたしの主義だ。
見てろ。絶対ギャフンと言わせてやる!
「りっちゃん、煌、止めろって!」
「凛音!煌!」
彼方と陽の声が聞こえるけどあたし達は完全無視。
二人の間にはバチバチと火花が飛び散っていてそれどころではない。
「……オイオイ、誰だよさっき“凛音は殴れない”とか言ってた奴は」
「アホだ。アホ過ぎる」
「煌!止めろって!」
当然、嵐ちゃんと優音、そして壱さんの声は届いている訳も無く。
今はもうポキポキと関節が鳴る音しか聞こえない。
呆れた視線の中に混じるのは複数の好奇の目。
それは幹部達ではなく、今まで凛音と慎達の遊びを見ていた獅鷹メンバーのものだった。