中田の言葉が頭の中で何度も何度も繰り返される。

嫌になるぐらい何度も。



あの時の事を今更後悔しても遅いって事ぐらい分かってる。


けど、それでも後悔せずにはいられなかった。


あたしはいつも後で後悔するんだ。


後先考えずに行動して、結果、後悔する。


同じ事の繰り返し。


……ホント、なんであたしっていつもこうなんだろう。




「なぁ、凛音」


突然聞こえた声にビクリと身体が震える。


聞こえた方へ直ぐ様振り向くと、そこにいたのはさっきまで扉に寄り掛かっていた筈の中田。


二人に気を取られていたせいか、中田が近くに来た事に全く気付かなかった。



中田は俗にいうヤンキー座りをしていて、あたしを食い入るように見ていた。



「……何?」


脆くなった心を隠す様に気丈に振る舞ってみせる。


中田にこれ以上弱っている姿を見られるのが嫌だった。


そんなあたしの心を見透かしているのか、中田は呆れじりの表情で笑うと再び口を開いた。




「アイツの事は諦めて俺んとこ来い」


そう言った中田はあたしの顎を掴み、距離を詰めてくる。


「……っ、触んないで!」


それをバシッと叩いてはね除け、顔を背けた。



「お前と桐谷──」


「──中田、凛音から手を離せ。俺はそこまで許してねぇぞ」