「……どうする?」
その張り詰めた空気を打ち破ったのは煌で。
いつもよりワントーン低いその声色は事の重大さを物語っていた。
“どうする?”
その問い掛けだけが脳内に響く。
答えを出そうと必死に考えるが、待てど暮らせど答えは出ない。
当然だ。短時間で答えが出るほど簡単なものではないから。
敵はもう関わる事がないと思っていた者達。
この先どう対処したらいいのか、奴等が何をしてくるのか、見当もつかない。
だから──
「取り敢えず“シバサキ工場跡”、“BAR シエル”、“ゲーセン ミナミ”この三ヶ所を探る」
まずは中田から聞いた手掛かりから攻めるしかない。
「そうだな。まずはそこから攻めねぇと始まらねぇか」
そう零した貴音の表情はかたかった。
それは──
「貴兄、心配しなくてもいいから」
遊大の事を心配していたから。
遊大は“D”、いや、“白狼”にやられた張本人。
“白狼”と関われば必然的に“あの時”の事を思い出すだろう。
貴音はそれを危惧していたのだ。
“白狼”と関わる事で遊大の心の傷を抉るかもしれない。
それだけは何としても避けたかった。
「貴兄、大丈夫だって!逆に奴等って分かって嬉しいぐらいだぜ?負けたままじゃ悔しいからな!」
そんな心配を余所に、遊大はまるで気にしていないとでも言うようにカラカラと笑っている。
「遊大……」
その笑顔がどことなく引きつっているように見えるのは気のせいなんかじゃないはず。


