何?決定打って何なの……?
「鳳皇と再会した数日後、何があった?」
……数日後?
「“こっち”で“何処”へ行って“誰”と逢った?」
何処で誰と……って、まさか…。
「そう。“それ”が決定打だよ」
──そうだ。
あの日、あたしは引っ越しの準備をしに来て、ガムテープを買いに繁華街へ行った。
そして──
「まさか凛音が桐谷と逢ってたとはな。兄貴に聞いて驚いたよ」
──あたしは繁華街で十夜と逢ったんだ。
「偶然って凄ぇな」
……偶然、十夜と逢った。
あれが“決定打”?
あたしが十夜と逢ったから……。
「お前の弟は兄貴にこう言ったらしいぜ?
『アイツは絶対凛音を連れ戻しに来る。あの目は諦めてなかった』ってな」
……っ、優……。
「それを聞いた兄貴はようやく“決意”したんだ」
「………」
「“鳳皇を潰す決意”をな」
貴兄……。
中田から視線を外し、ゆっくりと二人へ目を向けた。
視界に映った二人は顔を伏せ、目を閉じていた。
その姿はまるであたしの視線を避けているかの様に感じて。
……あぁ、これが真実なんだ、と改めて認識した。


