Ri.Night Ⅳ



“あの出来事”があったのは今からちょうど一年前。


遊大に怪我を負わせた傘下は、問題を起こす数週間前に鳳皇に入ったばかりの新参者だった。


傘下になった理由は暴走族の世界ではよくある話。


トップの座を奪おうと抗争を仕掛けたが敗北し、傘下に入れられた。ただそれだけ。


そのチームは特別素行が悪い訳ではなく、評判もソコソコ。


傘下に入るのに何ら問題はなかった。


だから十夜はそのチームを傘下に置こうと決めたのだ。




鳳皇の傘下に入ったチームは遊大の事件が起こるまで何の問題も起こさなかった。


血の気の多い人間ばかりで初めこそ一線引いていたが、徐々に慣れてきたのか一ヶ月経つ頃には鳳皇や他の傘下とも上手くやっていた。



その矢先の事だった。


あの“事件”が起きたのは。




遊大が絡まれたのは本当に運が悪かったとしか言いようがなかった。


偶然。

本当に偶然だったのだ。


その日、たまたま虫の居所が悪かった男がいた。


溜まった苛立ちをぶつける相手がおらず、偶然目の前を通りかかった遊大がその相手に選ばれた。


鳳皇側の人間は五、六人。


喧嘩を売った男以外の人間は遊大に喧嘩を吹っ掛けるつもりはなかった。


だが、遊大がその喧嘩を買い、相手を挑発したが為に男達の堪忍袋の緒が切れてしまったのだ。


遊大も獅鷹の人間。

喧嘩を売られて簡単に引き下がるような奴ではない。


特に遊大は獅鷹の中でも血の気が多い方だった。