「そこまで凛音を想ってるのなら許さねぇ訳にはいかねぇよな」
「河原……」
真剣な面持ちから一変し、フッと笑みを零す遊大。
その笑みは何かから解放されたような、そんな気の抜けた微笑みだった。
遊大のその晴れ晴れとした表情に室内の空気が一気に緩む。
「俺はお前等が悪いとは思ってない」
おもむろに視線を落とした遊大は怪我をした右足にそっと右手を乗せ、慈しむように膝を撫でた。
「──あの時、あの場所に行ったのは自分だ」
そう言った遊大はきゅっと下唇を噛み締める。
その時の事を思い出しているのか、その仕種は遊大の心情を表しているかのように感じた。
そんな遊大を慰めるかのように嵐の手が遊大の後頭部を覆う。
「お前があの場所に居たのは偶然だろう?」
「偶然でも売られた喧嘩を買ったのは自分だ」
「それでも、ウチの奴が何もしていないお前に一方的に喧嘩を売り、重症を負わせたのは事実だ。傘下の躾をちゃんとしていなかった俺が悪い」
互いに自分が悪いと認識している二人。
第三者から見れば“あの出来事”はどちらが悪いとは言えなかった。
どちらか、と言えば重症を負わせた鳳皇の方だろう。
“あの時”、遊大に怪我をさせたのは鳳皇の傘下だったのだから。


