「凛音の為を思えばあのまま離れるのが一番だと分かっていた。けど駄目だったんだ。アイツがいないと“俺”じゃいられない」
「………」
「それは俺だけじゃなくコイツ等にも言える事だった」
十夜は目を逸らしたままそう告げ、口を噤む。
「だから決めたんだ。中田を潰し、河原、お前に謝罪をしに行く事を」
続けてそう言った煌は十夜と同時に顔を上げると遊大の瞳を真っ直ぐ見据えた。
「──もしそれで遊大が許さないと言ったら?」
静かにそう発したのは遊大ではなく貴音で。
貴音のその言葉に十夜と煌をはじめ、その場にいる全員が貴音へと目を向けた。
貴音の鋭い視線が鳳皇メンバー全員を捉える。
再び訪れた静寂。
カチカチカチと規則的に音を刻む秒針に空気が張り詰めていく。
貴音の視線は鳳皇メンバーから外される事はない。
その緊迫した空気を破ったのは──
「何度でも来る。アイツを取り戻すまで何度でも」
十夜の芯の通った声。
覚悟を決めた声だった。
貴音を見据えるその眼差しは真剣そのもので。
その瞳を見た貴音はスッと目を細め、ゆるりと口角を引き上げた。
「目は口ほどにものをいう……か」
まるで独り言のように言い放たれた言葉。
貴音は言い終わらぬ間に遊大へと視線を向けると、目が合った遊大はコクリと小さく頷いた。


