凛音は自分を責めるだろう。
そして哀しむ。
獅鷹と鳳皇に挟まれ、きっと自分を追い込む筈だ。
だから引き止められなかった。
何も知らない方がいい。
哀しむと分かっている事をわざわざ言う必要はない。そう思った。
自分達が関わる事でいつ“真実”が凛音の耳に入るか分からない。
いずれ凛音を哀しませるかもしれないと思うと、引き止める事なんて出来なかった。
“あの時”、陽が自分の意思を凛音にぶつけられたのは、遊大の怪我、即ち、あの事件の時には関わってなかったから。
陽はまだ鳳皇にいなかったのだ。
いや、詳しく言えば、鳳皇には出入りしていたけど正式に入っている訳ではなかった。
陽が詳しく聞いたのは中学を卒業した時。
陽が聞いたのは獅鷹の一人に重症を負わせ、その仕返しに十夜がやられたという簡単な説明だけ。
もう二度と獅鷹と関わる事はない。
十夜達はそう思っていたから簡単にしか説明しなかった。
当然陽はそれだけの説明で重要視する訳がなく。
唯一重要視していたのは十夜がやられた事だけだった。
だから自分の意思を凛音にぶつけた。
陽も頭の隅ではきっと解っていただろう。
けれど、凛音と離れたくないという想いの方が遥かに強かった。
十夜達は必死に凛音を呼ぶ陽を見て羨ましいと感じた。
自分の心を素直に表に出せる陽が。
だから、凛音を呼ぶ事を止めたりはしなかった。


