「……あぁ、言わない。言ったらアイツは自分を責めるだろう。だから……」
「一度は離れようとした。そうだろう?」
「……あぁ、そうだ」
途中で詰まった言葉を貴音が代わりに告げ、十夜は視線を落としてその言葉に返事した。
「“あの時”、凛音が俺達と兄弟だったと分かった“あの時”、お前等は何故俺が無理矢理凛音を鳳皇から引き離そうとしていたのか“理解”した」
「………」
「だから“あの時”凛音を引き止めなかったんだろう?」
「………」
貴音の問い掛けに十夜達は誰一人として返事をしなかった。
その通りだったからだ。
貴音の言う通り、凛音に真実を告げられて“全て”を悟った。
そして、同時に貴音がそれまでに残してきたあらゆる意味深発言の意味をも理解した。
バラバラに飛び散っていた破片が一つになった瞬間だった。
頭の中を駆け巡る“過去”。
獅鷹と鳳皇が共用する一つの“過去”が頭に浮かんだ時、陽を除く四人は凛音に対して何も言えず、そして引き止める事さえ出来なかった。
否、引き止められなかったのだ。その権利が無かった。
凛音の親しい人を傷付けたのは紛れもなく自分達。
凛音がそれを知ればどう思うかなんて考えなくても分かっていた。
知らなかったとはいえ、親しき人を傷付けた人間と仲良くしていたんだ。
いや、ただ仲良くしていただけではない。
“仲間”になっていた。


