「和解の決断を下してくれた事、感謝してる」
静寂を破ったのは沈黙を貫いていた十夜だった。
全員の視線が一斉に十夜へと集まる。
十夜は貴音を見ていた。
だが、それも数秒だけで、そのまま左方へと滑っていく。
獅鷹メンバー全員と視線を交えた十夜は再び貴音へ目を向けた。
交わる視線。
それを先に逸らしたのは、貴音。
「礼は遊大に言ってくれ。遊大が説得しに来なければ和解をしようとは思わなかった」
貴音の視線が向かった先は遊大の元。
それにつられたように全員の視線が遊大に向けられる。
「礼なんかいらねぇよ。俺は凛音の為にそうしただけだ」
そう言った遊大はゆっくりと振り返り、リビングのドアを見て優しく微笑んだ。
それはそのドアの向こう、お風呂場にいる凛音へ向けられている。
「貴兄が俺の為に鳳皇と凛音の事を隠していてくれた事は嬉しかった。けど、俺は凛音が自分のせいで哀しんでいるのが嫌だったんだ。
だから“鳳皇と和解して欲しい”と頼んだ」
再び視線を戻した遊大は鳳皇メンバーを真っ直ぐ見据えそう言った。
「……“この怪我”のせいで凛音を苦しませるなんて真っ平御免だ」
“怪我”
それが獅鷹と鳳皇を引き裂いた“原因”。
「だから、この足の怪我にお前等が関わっていた事は絶対に凛音に言わないでくれ」
貴音が無理矢理でも凛音を鳳皇から引き離したかった“理由”だった。


