「十夜、何でそんなに拗ねてんの?」
「拗ねてねぇよ」
「いや、拗ねてるでしょ!」
「拗ねてねぇ」
「拗ねてる!」
周りに皆が居る事も忘れて言い合いを始めるあたし達。
こうなると相手が折れるまで繰り返す事を知っているからか、彼方と陽が苦笑しながらも止めにきた。
「十夜、コイツには勝てねぇんだからやめとけ」
呆れているのか馬鹿にしているのか。
どちらにも取れる笑いをこれ見よがしにして見せる煌。
その顔が何とも小憎らしく見えて、文句の一つでも言ってやろうと口を開きかけると、遮るように十夜の舌打ちが聞こえた。
舌打ちをしたいのはこっちだっつーの!
「ククク……。桐谷、あの兄弟はドシスコンとドブラコンだからな。イチイチ気にしてると身が持たねぇぞ」
「ちょっと嵐ちゃん!“ド”が付くのはこの二人だけだから!」
「凛音ツレねぇ事言うなよ。一緒に風呂入った中だろ?」
「ちょ、ちょっと貴兄!何年前の話してるのよ!」
何言ってくれちゃってんだこの人は!
誤解されるような事言わないでよ!
「桐谷、お前面白ぇな」
いやいやいや!面白くないから!
さっきより機嫌悪くなってるから!
あたしの肩にオデコをつけて必死に笑いを堪えている貴兄とは裏腹に、凄まじいオーラを放っている十夜。
近付くと噛み殺されそうな勢いだ。
今は近付くべからず。
あたしの第六感がそう言っている。


