「帰って来るよ。っていうか優音も来てよ」
「……うん」
板挟みにされている貴兄と抱き締められている優音。
奇妙な体勢にも関わらず二人からは文句の一つも出ない。
まぁ、あたし達からすればこんなの日常茶飯事だからね。今更と言ったら今更だ。
「……クッ、ククク……」
「貴兄?」
いきなり笑い出した貴兄に優音と二人して驚く。
ポンポンと背中を数回叩かれかと思えば、
「凛音、そろそろ離さねぇと俺睨み殺されそうだ」
「へ?」
突然意味不明な事を言われた。
目を見合わせて首を傾げるあたしと優音ちは反対に、クククと喉の奥で笑う貴兄は自棄に愉しそうで。
優音を離して貴兄からも離れると、
「そんな睨むなよ。これは俺等のスキンシップなんだから」
そう言った貴兄が再びあたしの身体を引き寄せた。
……貴兄、なんか愉しんでない?
「貴音、あまりからかうなよ。面白すぎるから」
不意に聞こえてきたその声に顔を上げると、ゆるりと口元を緩めた嵐ちゃんと目が合った。
面白すぎるって……。
「だってあの桐谷がこうなるんだぜ?弄りたくもなるだろ」
「まぁそうだけどよ」
こうなるって何?
二人の会話が気になって貴兄から無理矢理離れる。
くるりと後ろを振り返れば、視線の先には明らかに拗ねているであろう十夜の姿があった。


