「まさか宮原だと気付いてるとは思わなかったよ。まぁ、そのお陰で説明する暇が省けたんだけど」


「………」


「結論から言うと、最初に手を組まないかと持ち掛けた時、断られたんだよ」


「……え?」



断られた?



「なんで?」


「さぁ?それは直接兄貴に聞いてくれよ」



そう言って中田はクイッと顎で貴兄を指す。



……分からない。


じゃあなんで今、二人は手を組んでるの?

貴兄は断ったんじゃないの?



「俺達が手を組むまでの経緯、教えてやろうか?」



いちいちムカつく奴だ。


どうせ言うんだからゴチャゴチャ言わずにさっさと言えばいいのに。



「あれはちょうど断られた直後だったな」


心の中で悪態をついていると、中田はニヤリと口角を上げ、再び話し始めた。


その笑みに嫌な予感が過る。



「下の奴から電話が来たんだ」



……電、話?



「宮原の前に凛音が現れた、と」



あ……。


その言葉を聞いてようやく気付いた。


そうだ。中田の下っ端は陽を尾行していたんだ。


なら、公園にいるのは当たり前の事。


じゃあ、あの時……。



「まさか凛音がそこに現れるとは思いもしなかったよ」



──全て貴兄に筒抜けだったんだ。