語尾になるにつれて優しくなっていく声色にそっと顔を上げると、飛び込んできたのはいつもの穏やかな微笑み。
けれど、その穏やかな微笑みはほんの一瞬で。
次第に呆れた表情へと変化していった。
その表情に何だか嫌な予感が……。
「た、貴兄?」
「慎が泣いてたぞ?凛音に鉄パイプ突き付けられたって」
「げっ」
そ、そう言えばそんな事もあったような……?
数時間前の出来事を思い出し、ピクピクと頬が引きつる。
「お前、思いっきり振り下ろして逃げたらしいな」
「……えへ」
「はぁ……」
貴兄だけじゃなく、鳳皇、獅鷹両メンバーから冷ややかな視線がビシビシと突き刺さって痛い。
だってしょうがないじゃん!
あの時はあれが最善策だと思ったんだもん!
「巻き込んだ俺が言えた事じゃねぇけど、俺はお前を倉庫に来させるつもりはなかった。
だから慎にお前と一緒に居るように頼んだんだ」
「……うん」
「で、問題はここからだ」
「うん?」
「俺はな、慎に“俺等が抗争している間、俺達の策を凛音に伝えとけ”って言っといたんだよ」
「えっ!?そうなの!?」
貴兄の口から出た衝撃発言に目を見開いて驚く。
「なのにお前ときたら慎の話も聞かずに突っ走りやがって」
「うっ……」
そ、そう言えばあの時、慎、“お前は俺とお喋りだ”って言ってたような……。


