Ri.Night Ⅳ


「車を飛び出した時にはもう男はいなくて。急いで倉庫に向かったら中田が男達と喧嘩してた」


「喧嘩?」


「うん……って言うよりリンチに近かったけど。十人はいたから」


「……成る程な。

裏切った、と言うより役に立たなかった事への怒りか……」



ハッ。奴等のやりそうなこった。


馬鹿にするように鼻で笑った嵐ちゃんは、前屈みになっていた上半身をゆっくりとソファーへ沈ませた。



「まさかトップが逃げてたなんてな」


「それだけじゃない。奴等は俺等の前に姿を現した」


「……なんだと?」


静かにそう告げた十夜に貴兄が怪訝な視線を向ける。


「倉庫の入口にいた奴が“D”だったんだ。奴等は三人いた」


「三人……?それは幹部を含めてって事か?」


遊大が十夜に問いかける。


「分からない。あの三人がトップなのか、それともまだいるのか……」


その問いかけに答えたのは十夜ではなくあたし。


「………」


遊大はあたしの言葉に少し俯き、考えるようにこめかみに手を添えた。


他の獅鷹メンバーも口を一文字に結び、気難しい表情を浮かべている。



「あたし、奴等に聞いたの。“目的は何?”って」


「そしたら?」


「“腰抜けの後始末”と“獅鷹と鳳皇を潰すこと”って」


「あぁ゙?」


問いかけにきた遊大にそう返すと、その返事は遊大ではなく嵐ちゃんから返ってきた。

何故かあたしを睨む嵐ちゃん。


怖すぎるっつーの!


今にも殴られそうなその形相に取り敢えず目を逸らしておいた。